こういったことにお答えします。
・認定農業者になるメリット ・デメリット
・認定農業者になるための手順
今回は、農業を始めた人は1度は耳にしたことがあると思う「認定農業者」についてです。
認定農業者のことがよくわからない上に、農業者に認定されるって聞くとかなり大袈裟なことのような気がしますよね。
でも、実は認定農業者は難しいものではなく、なっておいて損はない制度なんです。
前置きが長くなると読むのが面倒くさくなるので、早速中身を見ていきます。
ちなみに、この記事を書いている僕は田舎の行政職員として、農業支援や生活支援の仕事をしています。
認定農業者とは【24万経営体がなっています】
認定農業者とは・・・
基本構想の目標を目指し今後5年間の「農業経営改善計画」を作成し、市町村から認定された農業者のことです。
簡単にざっくり言えば、
「あなたは地域の農業の担い手としてお手本となる農業者です! はい、認定!」
みたいな感じです。
2020年7月時点で
全国で24万経営体以上が認定農業者になっています。
経営体とは、個人・法人を含めた農業経営者のことです。
どんな人がなれるの?
次のとおりです。
性別 | 不問 |
年齢 | 不問 |
専業・兼業 | 不問 |
経営規模・所得 | 一定の条件あり → 認定する市町村によって異なります。 (家庭菜園レベルではなれません) |
営農類型 | 米、麦、大豆などの農地が必要な農業から、 農地を持たない畜産経営なども対象です。 |
ちなみに、市町村によって異なる要件というのは、例えば年間所得が400万円以上、年間労働時間が2000時間以内などです。
要は、農業者も会社員並みであることが求められています。
夫婦や親子でもなれるの?
家族経営協定を結べばなれます。
家族経営協定とは、経営方針や役割分担、家族みんなが働きやすい就業環境などについて、家族間の十分な話し合いに基づきいて交わされた取り決めです。
認定農業者になるメリット
認定農業者は、地域の農業の担い手としてお手本となる農業者ですので、いろいろと支援制度が揃っています。
メリット ② 農業経営基盤強化準備金制度の適用を受けられる
メリット ③ 低金利で制度資金が借りられる
メリット ④ 「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」が受けられる
メリット ⑤ 農業者年金で補助が受けられる
メリット ① 経営所得安定対策(ゲタ・ナラシ)に加入できる
畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)
諸外国との生産条件の格差により不利がある畑作物(麦、大豆、そば、なたね)に対する交付金で、標準的な生産費と標準的な販売額の差額分に相当する交付金が直接交付されます。
米・畑作物の収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)
米、麦、大豆の当年生産の販売収入の合計が標準的収入を下回った場合にその差額の9割を補てんされます。
メリット ② 農業経営基盤強化準備金制度の適用を受けられる
農業経営基盤強化準備金制度とは、経営所得安定対策などの交付⾦を農業経営基盤強化準備⾦として積み⽴てた場合、この積⽴額を個⼈は必要経費に、法⼈は損⾦に算⼊できます。
課税所得を少なくすることができるので、税金の支払いを抑えることができます。
さらには、積立てたお金を5年以内に取り崩し、機械などの購入にあてた場合、一定の額を課税所得から控除することもできます。
つまり、税金対策になります。
メリット ③ 低金利で制度資金が借りられる
スーパーL資金(農業経営基盤強化資金)
融資の使い道としては、農地、農業用機械および施設の取得、農産物の加工処理、販売施設などの設置、 負債整理などが対象になります。
さらに、 個人は最大3億円、法人では最大10億円の融資を受けることができます。
償還期限は25年以内(うち据置期間10年以内)
経営状態によっては無担保・無保証人も可能で、かなり優遇されている融資と言えます。
メリット④ 「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」が受けられる
必要な農業用機械・施設の導入を農業経営体の規模に応じ切れ目なく支援してもらえます。
支援内容は次の3タイプです。
- 地域担い手育成支援タイプ
地域農業の担い手として経営発展の取組を行おうとする農業経営体に対して支援。
- 先進的農業経営確立支援タイプ
より高い目標をもって、農業経営体の主体性を発揮した取組、農業経営体と地域との相乗的発展を目指す取組、より規模拡大を図るための取組を行おうとする農業経営体に対して支援。
- 産地基幹施設等支援タイプ
地域農業において中心的な役割を果たしている農業法人が、品質・衛生管理の強化等を図る卸売市場施設、産地・消費地での共同配送などに必要なストックポイント等の整備を支援。
メリット⑤ 農業者年金で補助が受けられる
農業者年金は、国民年金の第一号被保険者である農業者がより豊かな老後生活を過ごすことが出来るよう国民年金に上乗せした公的な年金制度です。
最低保険料2万円の負担が困難という場合に、一定の条件を満たせば1万円から4千円の間で国庫補助が受けられます。
認定農業者になるデメリット
正直デメリットとなることはほとんどないのですが、強いて上げるとしたら、農業経営改善計画を5年ごとに見直す必要があることくらいです。
経営計画なので、どのように経営規模を拡大して、収益をどのように上げていくかというのを、5年後を見据えて計画する必要が出てきます。
経営していく上で、PDCAを回していくことは当たり前のことだと思います。
なので、見直す手間がデメリットと考えるかは本人次第のようなところです。
認定農業者になるための手順
認定農業者になるための手続きはシンプルです。
手順② 市町村へ提出
手順③ 要件を満たしていれば計画が認定され、認定書の発行
順番に見ていきます。
手順① 農業経営改善計画の作成
まず計画書の様式は、市町村の農業を担当する部署でももらえますし、農林水産省のHPからもダウンロードできます。
正直、計画を立てることが一番大変です。
2.生産方式の合理化の目標(機械・施設の導入、ほ場の連担化、新技術の導入など)
3.経営管理の合理化の目標(複式簿記での記帳など)
4.農業従事の様態等に関する改善の目標(休日制の導入など)
1〜4の目標を全て立てる必要があります。
目標だからと行って実現する見込みがない目標を立てると審査が通りません。
実現が可能な現実的な目標を設定する必要があります。
難しくて面倒くさそうですよね?
でも安心してください。
一人で頭を抱えて悩まなくても、都道府県に設置してある普及指導センターやJAに相談すると計画を立てるお手伝いをしてもらえます。
それぞれ地域の農業に関していろいろな情報を持っているので、無理のない実現可能な目標を立てるためのアドバイスをもらうことができます。
計画を立てるときは相談することをおすすめします。
手順② 市町村に提出
お住いの市町村で、農業を担当する部署に郵送または持参するだけでOKです。
あとは審査されて結果が出るのを待つのみです。
時期にもよりますが、約1ヶ月ほどで結果は出ます。
手順③ 要件を満たしていれば計画が認定され、認定書の発行
計画が認められれば、これであなたも認定農業者です。
認定農業者のメリットで上げたような支援を受けることができます。
認定書が発行されますので、大切に保管しておきましょう。
まとめ
認定農業者は、なって損はない制度だと言えると思います。
メリットとしては、たくさんの支援制度を受けることができます。逆にデメリットは農業経営改善計画を立てるのが面倒なくらいで、特に大変なことはないと思います。
この記事をご覧になって気になったという方は、一度申請してみることをおすすめします。
では今回は以上です。