農業次世代人材投資資金とは【制度の落とし穴に注意】

制度を知りたい人
新しく農業を始めたいと思って使える制度を調べていました。お金がもらえる農業次世代人材投資事業という制度があることとを知り、タダでもらえるのであれば制度を使ってみたいと思いますが、タダほど怖いものはありません。制度の概要とメリット・デメリットが知りたいです。

こういったことにお答えします。

・農業次世代人材投資資金とは
・農業次世代人材投資資金のメリット・デメリット
・制度を上手く活用するには

この記事を書いている僕は、田舎の行政職員として農業支援や生活支援をしています。

農業次世代人材投資資金は、農業を新しく始められる人にとっては押さえておきたい制度ですよね。

制度を活用して良かったという声もあれば、失敗したという声もあります。

今回は、制度の存在を初めて知った人向けに、概要とメリット・デメリット、また制度を上手く活用するためのポイントをお伝えします。

本気で農業を始めたい人は、ぜひ活用したい制度ですので、参考にしていただければと思います。

では早速。

農業次世代人材投資資金とは

ザックリいうと、新規就農を希望される人のために、国が行う支援制度です。

制度の内容

制度の内容は「準備型」(最長2年)と「経営開始型」(最長5年)の2つに分かれています。

〈準備型〉
原則50歳未満での就農を目指し、都道府県が認めた研修先で、就農に必要な技術等を研修する期間に資金がもらえます(年間最大150万円、最長2年間)

〈経営開始型〉
原則50歳未満で農業経営を開始した後、経営確立をするまでの期間に資金がもらえます(年間最大150万円、最長5年間)。

ちなみに、夫婦で受給をすると1.5倍になり、年間最大225万円がもらえます。

(追記:2020年11月)
令和3年度から新たに経営開始型を受給される方から制度の変更があります。
1〜3年目 → 前年所得に関わらず一律で年間150万円に変更
4〜5年目 → 前年所得に関わらず一律で年間120万円に変更
令和2年度までは、所得を増やすほどもらえるお金が減っていたので、一律でもらえるようになるのは大きなメリットになります。

脱サラしていきなり農業で生計を立てるというのは難しいので、研修を受けて農業のノウハウを身につけ、独立して営農を始めるステップアップするための補助金です。

もちろん補助金は税金でまかなわれているため、補助を受けるには、かなり細い要件があります。

要件が全て守られていない場合は、交付停止や返還にもなるので、かなり厳しい補助制度だといえますが、本気で農業で生活していこうと考えている人には、それほど高いハードルではないでしょう。

細かい要件については、農林水産省のHPリンクを貼っておきます。

●農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)

読んでいくと、初耳の言葉があると思いますので、次で少し解説します。

独立・自営就農、雇用就農、親元就農の違い

〈独立・自営就農〉

自らが経営者となり、農業を営むことです。

メリットとしては、自分の思ったとおりの農業ができることです。その反面、生活費を稼いだり、農地の管理、資金の管理、機械の管理なども自らでしないといけない大変さがあります。

〈雇用就農〉

株式会社〇〇などの農業法人に就職して、雇用されることです。

雇用就農のメリットは、安定した給料が入ってくることと、働きながら技術も習得できることです。

デメリットは、雇用されているため、経営者の農業方針に左右されやすいことです。

〈親元就農〉

字のごとく親が営んでいる農場で農業を始めることです。

メリットとしては、農業を始めやすいことです。

農業次世代人材投資支援事業を活用する場合は、就農後に家族と自分との責任や仕事の割合を明確にする「家族経営協定書」を交わすことと、就農後5年以内に親の経営を引き継ぐなどの要件があります。

始めやすい分、要件を課せられます。

青年新規就農者ネットワーク(一農ネット)とは

農業者と農林水産省が直接つながるためのネットワークで、月に2回ほどメルマガ配信されます。

準備型と経営開始型のどちらも加入することが交付要件になっているので、必ず入る必要があります。

認定新規就農者、認定農業者とは

〈認定新規就農者〉

新規というだけあって年齢制限があり、原則18歳から45歳未満で、就農後5年以内の農業者がなることができます。

経営開始型を受けるためには、認定新規就農者になる必要があります。

認定新規就農者になるためには、市町村に「青年等就農計画」という5年後を見据えた計画を提出し、認められるとなることができます。

〈認定農業者〉

年齢制限はありません。

認定農業者になると、超低金利の融資を受けることができるなど、機械導入する際にはお得になります。

認定農業者になるには、市町村に「農業経営改善計画」という、これもまた5年後を見据えた計画を提出し、認められるとなることができます。

農業次世代人材投資事業を使うメリット・デメリット

制度を使ってみたいと思う人が気になるのは、やっぱりメリットとデメリットだと思います。

まずはメリットから。

メリット その①:7年間で1,050万円もらえる

農業を始めて、いきなり満足いく収入を得られるわけではないので、年間150万円がもらえるのはかなり大きいと思います。

メリット その②:使途が決められていない

使う目的が決められていないので自由に使うことができます。

そんな人はまさかいないと思いますが、極端な話、パチンコなどのギャンブルに使うことだってできます。(絶対にやめましょう!)

メリット その③:やりたかった農業に専念できる

農業を続ける限り、年間最大150万円は入ってくるわけなので、その分農業に専念して、知識・技術の習得することができます。

次にデメリットです。

デメリット その①:要件が厳しい

ルールを守らないと交付の中止や返還になることがあります。

本気で農業を始めようとしている人には、なんてことのない要件ですが、年間150万円がもらえることを目的に軽い気持ちで農業を始めるとなかなか厳しいハードルがあります。

交付中止・返還【厚生労働省ホームページより】

デメリット その②:農業から逃れられない

要件にもあるように、交付期間終了後、交付期間と同期間以上の営農を継続しなければ交付を受けた金額は返還する必要があります。

例えば、5年間の経営開始型の交付を受けると、交付終了後5年間、つまり合計10年間農業をしなければなりません。

もし途中で農業をやめて違う職に就こうとしても、農業を辞めることができません。

さらには、交付期間中に、どうしても農業収入だけでは生活ができなくなっても、兼業で働きに行くことは許されません。

どうしても、農業からは逃れられないのです。

デメリット その③:頑張れば頑張る分だけ減らされる

経営開始型では、前年の所得が100万円を超えた場合は、その所得金額に応じて交付金額が減額され、最終的に350万円を越えると交付が停止します。

つまり、どう頑張っても所得が350万円以上にはならないということです。

制度としては、生活保護制度と同じですね。

デメリット その④:生活水準が下げられない

交付が停止するくらい所得が増えていればいいのですが、怖いのは所得が増えていない場合に経営開始型の交付が満了したときです。

人の生活は不思議なもので、一度上がってしまった生活水準はなかなか下げられません。

年間最大150万円もらえていたのがなくなると、わかっていたこととは言え、厳しいものがあるようです。

制度を上手く活用するためには

・生活水準を上げない
・中途半端な気持ちで農業を始めない

制度を上手く活用するには、上記の2点に限ります。

いうまでもなく、営農を開始して間もない間は、150万円をあてにせず生活水準は上げない生活を目指しましょう。

また、よく農業ならできそうという話を聞きますが、農業は全く甘くないです。

中途半端な気持ちで始めると長続きしないです。

本当に農業がやりたいのか、辞めることなく続けられるか自問自答してから制度を使いましょう。

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というわけで、今回は以上です。

農業次世代人材投資資金は、本気で農業をやりたい人にとってはありがたい制度だと思います。

活用を考えられている場合は、この記事のデメリットも参考にしていただければ幸いです。

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